2008年12月22日

コンフューザーというモノ

だいぶ一般の方々の中でも知名度が高まってきたと思われますコレ。
 
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コンフューザー」、漢字で書くと「交信攪乱剤」。
 
害虫のメスが発するフェロモンに似た物質を人工的に作り出し、園内に漂わせることでオスを混乱させて交尾を阻害し、個体数の増加を抑えるアイテムです。
 
殺虫剤を散布することなく害虫を抑制するので、減農薬の手段のひとつとなっています。
 
率直に言って、効果のほどを現場レベルで確かめることは困難です。
 
うちの地域の桃栽培でこれを設置した場合、慣行に比べて殺虫剤の散布を2〜3回(種類)減らすことになっていて、それでも目立った被害の増加はないので、有効なのかもしれませんが、ひょっとしたら設置しなくても関係なかったのかも
 
それなら設置した畑とそうでない畑を両方つくって比べればいいじゃないか
とおっしゃるむきもあるかと思いますが、これの効果はあくまで交尾の阻害であり、外から成虫がすっ飛んできたら意味がない。つまり、広範囲で実行しなくてはそれほど効果がないのです。
 
逆に設置した範囲の真ん中に非設置区をつくっても、周囲で繁殖が抑えられているから、非設置区でも発生は少ないかもしれない。
 
それならと、離れたところで試験しても、場所によって年によって害虫の発生状況はさまざまなので、単純な比較は難しいのです。
 
しかも対象となる害虫は限定されます。対象外の害虫には別の防除手段を考えなくてはなりません。
 
農業において「効果が未知数」というものはたくさんあると思います。
 
肥料など、撒いたうち、どのくらいが対象作物に吸われているかはほとんど分かりません。
窒素なら作物の様子である程度はわかっても、カリやリン酸に関しては
「効いた気がする」程度の認識になってしまいます。
しかも、効くには効いたけど、散布量の何%が吸収され、どのくらいが無駄になったのかはわからない。
 
いわんや微量要素に関しては、特別な不足害や過剰害が顕著に現われていなければ、まったく闇です。
 
農薬は肥料に比べると効果は分かりやすいですが、
「使わなかった場合、どうだったか」は使ってしまった後ではもちろんわかりません。
「ひょっとしたらこんな高い薬でなくても大丈夫だったかも・・・」
「天敵の被害を考えたら使わないほうが良かったのかも・・・」
 
 
とくに屋外で、土壌の助けを借りて行う農業は、いわば「効果が未知数なもの」との格闘でしょう。
 
誰もが悩みながら作物を管理している(と私は思っている)。
 
コンフューザーだけが特別ではないのですが、問題はこの資材が高価であること。
 
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見づらいのですが、桃の害虫モモシンクイガなどに有効なコンフューザーは一本91円
34アールの面積で410本、3万7310円。
こんな(上段写真)輪っかが缶ジュースと同じくらいの値段です。
半額は補助が出ますが、
この補助も農協の売上げその他から出ているわけですから、周り巡って自分がはらうことになります。
税金からの補助なら皆さんが払っているのです。
 
他産業の行う投資に比べれば微々たる金額なのかもしれませんが、「効果が未知数」なものに
お金を払うことは、常にジレンマをともないます。
 
そしてあらためて
 
安心は無料では買えない」世の中なのかもしれません。
 
posted by 鶴岡農園 at 15:16| 桃編